2010年2月2日火曜日

朝、9時50分の恐怖


 最近、59才のオジサン(私のことです)ですら自転車通勤をするほどに、自転車ブームなんだそうだけど、自転車通勤を始めた本人には、ブーム前の状態は知らないわけで、その自覚はない。しかしながら、今朝、これがブームの本性かと思った。

 私の通勤経路は、渋谷駅前の交差点を迂回するようなコースで、東急デパート本館の脇を通ってゆく。この日の朝、淡島通りが終わる環6との交差点付近から、急に自転車が目に付いてきたのだ。この交差点は淡島通り、環六ともに上り下りの坂の途中にある。特に淡島通りは環六との交差点に向けて下り、交差点を過ぎると登に入る。できればスピードに乗った状態をキープして、通過したい信号ではある。右折左折直進の自転車があって、車の間をぬって走る奴もいる。歩道と車道を勝手に走る自転車が入り乱れ、そこに右側通行の非常識モノが加わり、尋常でない光景が出現していた。普段でも注意が必要なところに、この時は10台近くの自転車がサーカス顔負けのヒヤヒヤ状態で目の前にあった。

 車道には私ともう一台、ブレーキのないピスト・バイクが車と同じ速度で飛ばしている。私は赤信号で止まる体勢でブレーキングするが、ピストは左折れしたいらしく、そのままのスピードで強引に私の前を左折れしてゆく。舗道上の何台かは直進したい者と左折れしたい者がぶつかりそうに先を争っている。そこに信号が青に変わり、直進車は歩道からそのまま直進するために車道に下り、私をかすめ通って行く。環6の左上から右側の歩道上を一台下りて来て急ブレーキで止まった。私は恐怖のあまりスピードが出せず、のんびり走っていたからいいようなモノの、都合5、6台の自転車が、車歩道・右左、入り乱れて私の目前を通過した。ピスト・バイク、ロード・バイク、マウンテン・バイク、ママチャリ、それぞれに跨っているのは20代と思われる若い人ばかりであったが、不思議なくらいぶつかることなくジェットコースター的にコーナーをかわして行った。

 「まいったなー」の印象を抱きながら、私は道交法遵守で左折れし、環6の坂道、車道の左側を上り「渋目の立体交差」下の信号に向かった。この交差点を右に下って行くと東急文化会館脇に出る所だ。右に曲がるわけで、当然のことながら交差点を越えて向こう側で自転車を止め青信号を待つこととなる。が、誰もそんなことはしないのである。右に曲がりたい自転車数台は横断歩道上で止まり、信号が変わるのを待つのだ。信号が変わると一斉に右側の横断歩道を渡り、一方通行の細い右側歩道上を走る。車道の左側を走り始めた私は何なんだ状態。そのウチの何台かは歩道から斜めに車道を走り左側に来る者もいるが、右側車道を突っ走る何台かもいる。途中道幅が狭くなり、一車線の一方通行下りを数台の自転車が左右関係なしに飛ばして下りてゆく。私は恐ろしい状況に唖然としながら左側をついて行くことになる。何なんだよこの状況はと思うまもなく坂下、松濤郵便局前の信号をほぼ全員が信号無視で突っ走る。私が通過する頃には青に変わり、次のドンキホーテ前の大きな三叉路信号の赤信号で止まったが、なんとまー、向こう側こっち側に信号待ちの自転車がうようよいる。スクランブル交差点が青になると、大勢の人が歩き出すと同時に全部の自転車が右左関係なく凄い勢いで、人の波が来る前に自分の行きたい方向に走り出す。これは、もう、冗談じゃない、くらいに恐ろしい状況が展開する。整備不良の壊れ掛かったママチャリに跨るおネーちゃんやマウンテン・バイクのお兄ちゃん、ピストやロード・バイクが入り乱れる。こんな危険な状況は他にないくらいに凄いことになる。

 軽車両としての自転車は、青に変わったスクランブル交差点には進入できないのが本来だが、ゆっくりではあるが、私ですら通過はする。人の歩くスピードが大前提だ。時に下りて押しながら通ることさえある。しかし、10時ちょっと前の遅刻寸前の若い人にはそんなことは通用しない。これで、よく、事故が起きないなーと不思議なくらいに凄まじい光景が展開する。いや、多分接触事故は頻繁に起こっているのだと思う、たまたま私の目の前で起きなかっただけであり、この異様な光景は毎朝見ることができるのだと思う。既に慣れている人にとっては、日常の光景なんだろう。

 この時間、自転車に跨っている人に、スーツ姿の人は無論、小ぎれいな格好の人はいない。私自身も短パンTシャツの小汚いない格好ではある。若い時には、お¥がないのは当たり前のことで、私は別にどういう服装で仕事に向かおうがさして気にする人間ではない。我が家の長女もジーンズにシャツ姿で通勤している。汚れてもいいような服装で自転車通勤する若い人に幸多かれと願うばかりだが、ワーキング・プアにはなって欲しくはないと思う。経済に疎い私ではあるが、使い捨て従業員として安易に若い人を使う企業やお店は渋谷界隈には多いような気がしている。お店の従業員はしょっちゅう変わるし、行きつけの店などで学生アルバイトだけで店を切り盛りしているような所も多い。簡単、安易に収入が得られる事をいいことに、ズルズルと無意味な仕事を続けている不幸が多い世の中ではある。そんな若い人なんだと思わせるような格好で整備もろくにしてないような自転車がほとんどだ。

 そんな中で、例外的にピスト・バイクが腰高に颯爽と道交法違反の、やりたい放題がいる。しかしながら、地味なママチャリに背広姿で右側歩道を走る銀行員らしき男たちよりも、はるかに好感は持てる。私が40才若ければ、間違いなくピストに乗っていた。いいよ、ピスト・バイク乗ってたって。あと10年もすれば、大人社会の、道交法違反どころじゃない魑魅魍魎の汚い世界に巻き込まれるんだから。オイル・ショックやバブル崩壊があって、最近は100年一度の金融恐慌で景気は最悪なんだけどね。我関せずの若いお兄さんに一言いうけどさ、金融工学駆使して「お金儲けは悪いことですか」なんて言いながら、堂々と経済犯罪を犯すような守銭奴だけにはならないでね。今の大人社会なんて、スクランブル交差点のめちゃくちゃどこの騒ぎじゃないんだから。時代は病んでんのよ。政治・経済・福祉に教育、全て身勝手な大人たちの、やりたい放題なんだから。経済とか金融とかの世界でね、金儲けのことしか考えてないのよ。

 今後、あなた方若き一般社会人が、平和に楽しく安心して生活できる保障なんか、どこにもないんだからね。これからも、ずーっとピスト・バイク乗り続けてくれれば、少しは社会が良くなるから、お願いね。ただし、もう少し道交法、守ってくれる。オジサンも安心して走りたいのよ。その辺も、ヨロシク。




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