2009年8月20日木曜日

走行時間、今朝は24分台



 実は253秒で、25分台なんだけど、3秒の超過に納得が行かない。あくまで24分台を主張したい。この歳になってくると自分自身に甘いと言うか、自分自身にさえ見栄を張りたくなる。張らしてちょうだい。はい、24分台です。

 早かった。最近は28分とか29分、時に30分を超えるようなタイムで、冬の寒い時期とはいえ、何となく元気がないのだ。体調が少しでも悪かったり、気力に陰りが出ると直ぐに30分近いタイムしか出ない。サイクル・コンピュータの数値は正直で、微妙なところでの体調、気力の度合いがそのまま数値になって現れる。概して冬場はタイムが上がらない。夏場に比べ平均すると1分ほど遅いような気がする。

 久々に出た24分台ではあるのだ。このタイムは気力体力共に申し分ない状況の時にしか出ない数値だ。なんでこの調子が悪いときに、こんなタイムが出たのかには理由がある。今朝は、私を追い越していったチャリンコの後に続いたのだ。引っ張って貰った感じで、後に続いて追いかけたのだ。紅いロード・バイクに跨る、黒のレーシング・パンツのお兄ちゃんだった。「っとー、恐れ多くも畏くも、私を抜いて行くとは失礼な」とばかりにペダルをこいでしまったのだ。しかし、このお兄ちゃん、なかなかに、立派だった。

 当たり前の事ではあるが基本的に左側しか走行せず、赤信号では左足のビンディングを外し、きちんと足を付いて停車する。たとえ誰も歩いてない単なる横断歩道の信号機でもである。正直、私は信号無視で行っちゃうような歩行者専用の誰もいない信号機の所である。車の流れに乗ってのかなりのスピードではあるが、走行中、車の前に出るときにはきちんと右手を出して後続車に自分が前に出ることをアピールする。それも私が追っている10分ほどの間に2度もやった。信号で止まって斜め後ろに停車した私はディレイラーなどチェックしたが、私のモノより明らかに安価なモノが取り付いていた。それが、きちんと整備され、スプロケットの歯車群もきれいにメンテの後が伺え、チェーンと共に燻し銀の如くに鈍く光っている。クランク側のチェーン・リングは2枚で、インナーが大きい、競技者が好んで使う、53-39Tのノーマルギアだった。自転車も一見するとクロモリの、アチコチに小さなキズも見受けられるような、使い込んでる旧式のモノで今流行のカーボンなどではない。ビンディングの金具も、何万もするような形のモノではなく、学生さん向けのモノであることが判る。

 きちんとヘルメットを被り、淡島通りを車の流れと共に走る。明らかに早いのだ。後ろ姿しか判らないが、年の頃は30才は超えているような感じで、精悍を感じさせる後ろ姿なのだ。さして若くもないが、まことにもって爽やかな走りで、私は必死に追走したのだ。淡島通りの始まる前の住宅街の通りから環7を超えて環6近くまでの間、全ての赤信号で止まりながら、1台の紅いロード・バイクが軽快に走る後ろを、中年のオッさんが遮二無二追いかけたのだ。環6を前方に見る頃には、いつの間にか姿が消えてしまったが、実に気持ちのいいライダーではあった。あのような走りを手本として毎日の通勤をしなくてはいけないのだと、殊勝にも思ってしまったのだ。

 若い坊やたちが駆るロード・バイクやピスト・バイクには目に余るモノが少なくない。平気で右側の車線に走り込んだり、歩道に乗り上げて走ったりと、縦横無尽に勝手な走りをする。私のように道交法遵守を基本に走っている自転車などには目もくれず、ヘルメットも被らないで実に勝手なのだ。不愉快きわまりない連中が多い中、この日の朝は実に爽やかではあった。

 そんなお兄チャンを追っかけて走った末に、事務所に到着してサイクル・コンピュータをチェックしたのだ。2503秒、・・・。24分台だった。

 

 

いいことずくめの自転車通勤



 毎朝、毎晩、油のついた汚い格好で、ロード・バイク(自転車)に跨って通勤してみませんか。冬の寒いときには鼻水垂らして、夏の暑いときには大汗を飛ばしながら、通勤時間を遊ぶんです。

 私は自宅と職場の間、8.5キロの道のりを二十数分で走ります。駅まで歩いて電車を利用すると倍の四十数分かかります。住まいは東京の世田谷区の経堂と呼ばれる所、仕事場の事務所は都心の表参道にあります。建築の設計を業として建築設計事務所を主宰している、御年59才である。車などでの通勤より早いですし、ガソリン代や駐車場代も必要ありませんので、ズーと安上がりでもあります。使うエネルギーは私自身の体脂肪です。二酸化炭素の排出もありませんので、かなりエコロジカルでもあります。

 血糖値が高くて食事制限を強いられてる方、メタポとやらでお腹周りを気にしてる方、ご心配は入りません。自転車を走らせるには、気づかぬウチにかなりのエネルギーを消費していますので自転車通勤を始めると徐々に体重が減ってきます。私は自転車通勤を始めて、5キロほど減ってそのままを維持してます。食事に気を使う必要は全くありません。毎日食べたいものを、食べたいだけ食べて問題ないんです。しかも、リバウンドはありません。私、自慢じゃないですけど血糖値は430あったんです。今はチョット高めの160ですから、全く問題ないですね。血糖値なんて、自転車通勤を始めれば1ヶ月以内に劇的に落ちます。

 ゴルフや野球、テニスやサッカーに熱中している方もいらっしゃると思いますが、多くても週一回の運動でしょ。週一回の運動は、単に週一回の疲労でしかないですね。毎週末疲れるようなことしてたら、健康的どころか長生きはできませんよ。人間の筋肉って、三日以内の連続の場合には、筋肉が成長してゆくんですって。週一回とはそういう意味でも単なる疲労で、精神的にはいいかもしれないけど、健康上はお薦めできるモノではないですよ。だいたい毎週の運動を楽しみにして雨でも降れば中止じゃないですか。無論、自転車だって雨の時には乗りませんけど、三日続けて雨なんてことは滅多にないですもん。苦しみながらのランニングや義務感から続ける運動など長続きしないでしょう。イチローも言ってるじゃないですか「継続は力なり」って、毎日のように継続的に軽度の有酸素運動が健康の秘訣です。

 自転車は、座ってやるスポーツです。私のように物ぐさ者には持ってこいで、疲れたらそのまま座ってればいいんです。坂道を下るときにはペダルなんか踏まないですもん。楽ちんなもんです。上りだって、今の自転車はギアが少なくとも8段、通常のロードバイクは20段か30段もあります。普通の車が上れるような勾配の坂道は難なく登れます。自転車は跳んだり跳ねたりしませんから、膝や足首に瞬間的に全体重が掛かるようなことはないんで、痛める心配もありません。ボールを投げたり受けたりもしないので運動神経のなさを露呈しなくてもいいんです。腰を回したり腕を振り上げたりの無理な動きもありませんので、身体を壊すような事にはならないんです。全くの運動音痴な私や体力が落ちてきている人には最適と言えます。「通勤」ですから運動の為に時間を割く必要はないんです。痴漢に間違われないようにラッシュの電車に乗る憂鬱から解放されるし、ドアー・トゥー・ドアを一切歩かなくていいんですよ。楽ちんこの上ないんですから。

 通勤は一人ですから全てマイペースです。パートナーやチーム・メンバーのことを考えて無理するようなこともないし、全くの気ままです。時にスピードを出すとは言え、クールな判断力とそこそこの良識を持って車道を走ります。交通ルールはあるわけでその範囲の中で、知的な走りが要求され、スマートに飛ばす喜びがそこにあります。サイクル・コンピュータという二千円程度のスピード・メーターを取り付ければ、毎回の走行時間を秒単位で知ることができます。今までにないタイムが出れば「っとー、記録更新の世界新だ」と楽しみが増し、毎日の励みにもなるわけです。

 自転車は、それ自体にエネルギー源を持つ「機械」ではなく、エネルギー源を持たない「道具」のカテゴリーに入るモノと言えます。基本的には中学生程度の物理学的知識があれば、何で自転車は倒れないのかに始まって、テコや歯車の原理、空気抵抗やタイヤと路面の摩擦抵抗、等々の知的好奇心を解明する楽しみも得られます。コンピュータなんかと違って全ての機構が露出してて、明確に理解でき、分解・再生する楽しみもあるんです。ロード・バイクとはそう言うモノです。服を油で汚しながらメンテナンスで遊ぶんです。

 毎日、楽しくもない職場の机に座ってなきゃならないご同輩、朝晩の通勤ぐらいは楽しんでも罰は当たらないですから。健康的な上に、知的でエコロジカルでエコノミカルな自転車通勤は、絶対にお薦めです。

はじめに (自転車)




 自転車に乗って3年も通勤していると、自転車のなんたるかがだんだん判ってくる。メンテナンスに関連する書籍などを読んだり、ネットで色々調べたりするウチに、全ての自転車に共通することなのか、ロード・バイクだけに限ったことなのか、私のバイクだけの特殊性なのか、等々が判ってきて自転車一般の知識として頭の中が整理されてくる。

  メンテナンス本の記述なども、マウンテン・バイクの場合とロード・バイクの場合とでは、何がどう違うのか理解でき、混乱や不安もなくページをめくれるようになる。3年前のロード・バイクを買った当初は、何がどうなっているのか、私の自転車は特殊なのか一般論として書いてあるモノなのかが理解できなかった。その辺の不安もあって、自分の自転車をいじくるのが恐かった。シマノとカンパニョーロの違いさえ判っていなかった。何しろ、エイッ、ヤー、で30万を超えるような自転車を買ってしまったのだ。判らないのは当然であった。

 この本は、既にロード・バイクに乗っている方を対象に書かせていただいている。特にメカに関する部分では、既に自転車に関する用語のなんたるかをご理解いただいていることを前提とさせていただいた。とは言っても、私自身、未だ素人の域を出ていないわけで、人様にお教えするようなことは何も書いていない。自分の無理解、思い違いをここで暴露し、同じような悩みを持つ方とその悩みを共有するのは意味のあることではないかと考えての事だ。3年の乗車経験から来る老婆心な独り言ともいえるが、自転車に詳しい人の本となると、読んでいてその尺度の違いから、良く判らないことが多いのも事実である。ロード・バイクを買ったばかりで不安を抱えながら乗っている方にとっても、今後の参考にはなると思う。

 一応、初心者としての小学生の域を超え、中学生あたりになった方々には共感いただける事が書かれている、と思っていただきたい。全くの小学生が読んでも「もう少し経つと私もこういう疑問にぶつかるのね」的なことがらで、人のおバカを楽しめる。専門用語などが出てきて混乱しても、なんとなく判りますから、大丈夫、先ずは自転車通勤の薦めからです。