毎朝、毎晩、油のついた汚い格好で、ロード・バイク(自転車)に跨って通勤してみませんか。冬の寒いときには鼻水垂らして、夏の暑いときには大汗を飛ばしながら、通勤時間を遊ぶんです。
私は自宅と職場の間、8.5キロの道のりを二十数分で走ります。駅まで歩いて電車を利用すると倍の四十数分かかります。住まいは東京の世田谷区の経堂と呼ばれる所、仕事場の事務所は都心の表参道にあります。建築の設計を業として建築設計事務所を主宰している、御年59才である。車などでの通勤より早いですし、ガソリン代や駐車場代も必要ありませんので、ズーと安上がりでもあります。使うエネルギーは私自身の体脂肪です。二酸化炭素の排出もありませんので、かなりエコロジカルでもあります。
血糖値が高くて食事制限を強いられてる方、メタポとやらでお腹周りを気にしてる方、ご心配は入りません。自転車を走らせるには、気づかぬウチにかなりのエネルギーを消費していますので自転車通勤を始めると徐々に体重が減ってきます。私は自転車通勤を始めて、5キロほど減ってそのままを維持してます。食事に気を使う必要は全くありません。毎日食べたいものを、食べたいだけ食べて問題ないんです。しかも、リバウンドはありません。私、自慢じゃないですけど血糖値は430あったんです。今はチョット高めの160ですから、全く問題ないですね。血糖値なんて、自転車通勤を始めれば1ヶ月以内に劇的に落ちます。
ゴルフや野球、テニスやサッカーに熱中している方もいらっしゃると思いますが、多くても週一回の運動でしょ。週一回の運動は、単に週一回の疲労でしかないですね。毎週末疲れるようなことしてたら、健康的どころか長生きはできませんよ。人間の筋肉って、三日以内の連続の場合には、筋肉が成長してゆくんですって。週一回とはそういう意味でも単なる疲労で、精神的にはいいかもしれないけど、健康上はお薦めできるモノではないですよ。だいたい毎週の運動を楽しみにして雨でも降れば中止じゃないですか。無論、自転車だって雨の時には乗りませんけど、三日続けて雨なんてことは滅多にないですもん。苦しみながらのランニングや義務感から続ける運動など長続きしないでしょう。イチローも言ってるじゃないですか「継続は力なり」って、毎日のように継続的に軽度の有酸素運動が健康の秘訣です。
自転車は、座ってやるスポーツです。私のように物ぐさ者には持ってこいで、疲れたらそのまま座ってればいいんです。坂道を下るときにはペダルなんか踏まないですもん。楽ちんなもんです。上りだって、今の自転車はギアが少なくとも8段、通常のロードバイクは20段か30段もあります。普通の車が上れるような勾配の坂道は難なく登れます。自転車は跳んだり跳ねたりしませんから、膝や足首に瞬間的に全体重が掛かるようなことはないんで、痛める心配もありません。ボールを投げたり受けたりもしないので運動神経のなさを露呈しなくてもいいんです。腰を回したり腕を振り上げたりの無理な動きもありませんので、身体を壊すような事にはならないんです。全くの運動音痴な私や体力が落ちてきている人には最適と言えます。「通勤」ですから運動の為に時間を割く必要はないんです。痴漢に間違われないようにラッシュの電車に乗る憂鬱から解放されるし、ドアー・トゥー・ドアを一切歩かなくていいんですよ。楽ちんこの上ないんですから。
通勤は一人ですから全てマイペースです。パートナーやチーム・メンバーのことを考えて無理するようなこともないし、全くの気ままです。時にスピードを出すとは言え、クールな判断力とそこそこの良識を持って車道を走ります。交通ルールはあるわけでその範囲の中で、知的な走りが要求され、スマートに飛ばす喜びがそこにあります。サイクル・コンピュータという二千円程度のスピード・メーターを取り付ければ、毎回の走行時間を秒単位で知ることができます。今までにないタイムが出れば「っとー、記録更新の世界新だ」と楽しみが増し、毎日の励みにもなるわけです。
自転車は、それ自体にエネルギー源を持つ「機械」ではなく、エネルギー源を持たない「道具」のカテゴリーに入るモノと言えます。基本的には中学生程度の物理学的知識があれば、何で自転車は倒れないのかに始まって、テコや歯車の原理、空気抵抗やタイヤと路面の摩擦抵抗、等々の知的好奇心を解明する楽しみも得られます。コンピュータなんかと違って全ての機構が露出してて、明確に理解でき、分解・再生する楽しみもあるんです。ロード・バイクとはそう言うモノです。服を油で汚しながらメンテナンスで遊ぶんです。
毎日、楽しくもない職場の机に座ってなきゃならないご同輩、朝晩の通勤ぐらいは楽しんでも罰は当たらないですから。健康的な上に、知的でエコロジカルでエコノミカルな自転車通勤は、絶対にお薦めです。
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