ネットでオーダーしたチェーンとチェーンカッターが届いた。チェーンは「SHIMANO 105 CN-5600 116LINKS チェーン 10-SPEED」、チェーンカッターは最高級品とされる木製ハンドルの「シマノ TL-CN32 ハイグレード チェーンカッター」を奮発した。仕事中にもかかわらず、待っていられない性分の私は即梱包を開き中身をチェック。見ると美しくも鈍い輝きを放つチェーンと1個のチェーン結合ピンが入っている。カッターの方はチェーンほどの美しさは放っていないとは言え、一生モノの重厚と言うほどではないが、大切に使える風情があって、何となく満足。
届いたチェーンのコマ数を数えてみると外側58コマが内側の58コマに繋がれ、都合116コマだ。長いのか短いのか、現在の愛車に装着されている長さと同じなのか判らない。後で比較してみようと思う。カッターの方は2つに分解されて送られてきている。説明書を見ると「チェーン切りのグリップのなかには、スペアピンが2本収納されてます」とある。ネジキャップを外してみると中から黒い2本のピンが出てきた。見ると明らかにチェーンのコネクティングピントは違う。なんだこれ?と思うまもなくチェーンのピンを押し込んでゆくときのカッター側の押し出しピンの予備であることが判った。ということは、チェーンを繋ぐのは一発勝負であることが判明し少々の不安を感じた。チェーンのコネクト・ピンは、チェーンに付属して来た1個だけなのだ。
ちょいと仕事を中断して、愛車をスタンドにセットして既存のチェーンにカッターをセットし、恐る恐るハンドルを回してゆくと、押し出して行くべきコネクティングピンの頭にカッターのピンが正確に中心にない。約1ミリ左にずれている。大丈夫かなーとの思いを無視して回してゆくと、結構な力が必要で木製ハンドル・バーの大きさの意味が実感できる。まーいいかとの思いで、なおも回してゆくとブチッという音と共に木製ハンドルが軽くなった。おーはずれたか、で、外れた。カッターをチェーンから取り外すと、無情にも両サイドのチェーンが下に垂れ下がった。「もう走れない」状態が目前に出現し、かなり不安。
早々にチェーン全てを抜き取り、黒い油汚れしたべたべたの手でチェーンを空のペットボトルに入れ、洗浄液を適当に入れ振り回し洗浄してみた。別にそのまま捨てちゃってもいい使い古したチェーンではあるが、既存のチェーンのコマ数を数える必要があるのと、この中古のチェーンでキーホルダーでも造りたいとの下心があったからだ。
「先生(私は事務所では先生と呼ばれている)、仕事してください」などと事務所のお姉ちゃんに言われても、止めるわけには行かないのだ。なにしろこのままでは今夜、ウチに帰れない。完全に油分が洗浄されたチェーンを数えてみると、54 x 2 の108コマだった。新品の方は4つ都合8コマ分長い。同じ長さに切断する必要がある。練習がてら切ってみると先ほどと同じようで押し出しピンが左にずれている。まーこのくらいはいいんだろうと学習しているのでそのまま押し込み上手いこと切断できた。
いよいよ愛車にセッティングするが、これが結構面倒くさい。なかなか前後のディレーラーに通ってくれない。また手を黒く油だらけにしてどうやら通した。繋ぐべき両端のチェーンを合わせ、1本しかない、新たなコネクト・ピンを手で半分差し込んだ所で、先ほど切断したのと同じような手だてで、カッターのピンを軽く押し当て準備完了。本締めに入る。ゆっくりとハンドルバーを回し始めた。とたん。パチンの音と共にコネクティングピンが、所定の位置に入る前に、折れた。やっちゃった。これはもう無理だ。「何よこれ、やっぱカッターの製品不良じゃないの」の声に「先生、仕事!」。やっぱ、左に1ミリほどの芯ずれが原因だと理解した。スペアーはない。慌てていつものショップへ電話を入れ、状況を説明し、コネクティング・ピンは売っているのかを聞いた所。笑いながら「はい、沢山売ってます」とのこと。即刻、ショップに走った。「仕事しなくていいんですか?」の声は無視。
チェーン結合ピンとして一袋5本入りでシマノ純正のモノが売られていた。短い鉛筆の芯程のモノが5本で¥729.-だ。結構高いなーの印象だが余裕を持って2袋購入し、仕事が終わってからの夜にやらなくて良かったの思いを胸に、事務所に戻った。
同じ過ちは避けたいので、カッターの調整ができないかを見たが、調整機能はないみたい。カッターに挟み込んで、右に左にチェーンを引っ張ってもチェーンは動いてくれない。付いているガイド・レールのようなモノが外れるので外して強引に右に引っ張りながら回してみることとした。これなら行けるかもの根拠のない自信を糧に再挑戦。はい、どうにか入りました。これで今晩は帰れる事となり、一安心。早々ペダルを回してみると妙な音がする。チェーンがどこかにぶつかっている。ん?間違った。後部ディレイラーのプーリーの所で、本来のチェーンの通過する位置が内側なのに、外側になっている。ガーンである。やり直し。「先生、仕事!」。再びチェーンを切り、再度注意深くチェーンを装着し、結合し直した。ったく、なんてこった。「仕事しますよ、すりゃーイイんでしょ。後でね」。
で、チェーンを巻き直すときにフロントの歯車の汚れが気になった。10,000㎞を超えて走っているが一度も取り外して洗浄していない。ついでだ、一丁やっちゃえ、で分解を始めてしまった。小一時間、悪戦苦闘の末に買ったばかりのごとくに綺麗になった。先週末に後輪のスプロケットは分解洗浄しておいたので、後輪部のスプロケットは綺麗なままだ。チェーンが新品となり、前の3枚のギアも光り輝いている。チェーンにドライ・タイプのチェーン用のオイルを注ぎ駆動関係のギアとチェーンは完全に清掃・メンテナンスが終了した。さて、今晩の帰りの走りはどんな風に改善されるのだろう。「はい、仕事します」。
夜、乗り始めて、直ぐに違いが実感できた。明らかにペダリングが柔らかいのだ。何だか信じられない程にシルキーな感じ。今夜の走りを経験すると今朝までの走りはごつごつした感じだったように思う。なんだかスプロケットがお餅で出来てるみたいにソフトなのだ。へー、こうも違うのね、という印象。入りにくかったギアも今夜は比較的入りやすくなっている。確かに改善されている。後輪のスプロケットを分解、洗浄しただけでは、忘れていた入りにくかったギアが顕著に入りにくくなっただけの事ではあったが、チェーンを取り替えクランク部分のギアを洗浄するとこんなにも違うのに驚いてしまった。
今回学習したことは、チェーンの交換やギヤの分解・洗浄は5,000㎞ 毎にやりましょう、ってことかな。私は倍の10,000 Km走っちゃったけど。初めてだとチョット面倒だけど、次からは早いだろう。次の日、使い古しのチェーンを使ってキーホルダーを作った。「ネー、これいいでしょ。あげる」、「先生、いい加減にしてください」と、かつての私の教え子のお姉ちゃんに叱られてしまった。
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