ネットでチェーンカッターをオーダーし、届いたモノは不良品だと思う。気の小さい私は、調整の方法を尋ねる口実で販売元に電話してみた。通常のカッターより数倍高いモノを買ったわけで愛着のわく製品であって欲しいとの思いもあった。私は道具フェチなのかも知れない。プロが使う道具類は何を見ても美しいと思う。子供の頃、靴屋の息子と仲が良くてちょくちょく靴屋の店先に出向いたが、そこの親父が使っている靴の修理道具に魅せられた。店の奥のカウンターでそこのオジサンがプロ用のエプロンをして、ノミを逆手に持って厚手の革底をそぎ落としていた。靴を逆さまにセットする台座や各種の工具類が雑然とおかれていたが、どれを取ってもきちんと手入れされ鈍く美しく輝いていた。
建築現場に行けば、道具箱に入った大工道具も美しい。使い込まれた道具には大工たちの魂が宿っているような気がして、道具箱を跨ぐようなことはしないし、触るのも憚られる威厳さえ感じる。「道具を大切に扱わない奴にはいい仕事は出来ねーんだよ」と昔どこかの大工が言ってたっけ。自らのロード・バイクの整備には、そんな美しい道具を使いたいと思っている。プロ仕様のモノはそれなりに頑丈な造りであり、年月が経てばそれなりに美しく汚れていってくれるものだ。常に愛情をもって使い込んでゆきたいのだ。
電話口で状況を説明し、私の言ってることが判るように、切断した余分なチェーンを含め送り返すこととなり、即刻宅配便で送り返した。次の日に担当者から電話が入り製品を作ったメーカーに話をしたら現物を見たいとのことで、販売店からメーカーに郵送するとのこと。聞けば、自転車に詳しい他の従業員も「こんなの見たことない」との事で不良品である可能性が高いとのこと。そして十日ほどたったころ、新品の製品が事務所に届いた。見れば、寸分の狂いもなく押し金のピンが、チェーンのピンのど真ん中に当たる本来のきちんとした製品であった。
コンピュータや自転車関連の部品については、電話での使い方や不具合について懇切丁寧に色々教えてくれる。私のコンピュータはマックだが、これだけ色々な機能が付いていれば100%使いこなすのは無理だ。どこかに不具合があってもそれが不具合に起因することさえ判らないことがある。電話で尋ねれば、実に懇切丁寧に1時間以上平気で付き合ってくれる。何とも頼もしいサービスであるが、シマノのサービス・センターもそうだった。ハンドルに取り付いているデュアル・コントロール・レバーについて問い合わせたところ「そのようなクレームは聞いたことがないので新たな製品と交換します」との嬉しい申し出を何度か経験している。今回のチェーンカッターにしても、気分良く新品と交換してもらった。自転車に素人だからといって遠慮することはない。電話口で気後れする必要もない。親切に色々教えてくれるし、遠慮せずにドンドン電話したらいいのだ。
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